１，著書
（１）著書
5 中国読書人の政治と文学
共著
2000年平成14年10月
創文社 660頁
編集 林田慎之助博士古稀記念論集編集委員会
執筆 丸尾常喜，大上正美，川合康三，中川諭 他30名
分担部分 「漢の寿亭侯」 449〜472頁
中国の読書人たちがどのように「文学」と関わりを持っていたかということをテーマにした論文集である。
分担部分 「漢の寿亭侯」 449〜472頁
明版の『三国志演義』に見られる、曹操が関羽を「寿亭侯」に封じようとして、「寿亭侯印」を贈ったが関羽は受け取らず、次に「漢寿亭侯之印」を贈ったら、関羽は喜んで受け取った、という話がある。しかし「漢寿亭侯」は「漢寿の亭侯」であり「漢の寿亭侯」ではない。にもかかわらず、『三国志演義』になぜこの話が入っているのかについて論じた。
宋代から「漢寿亭侯」を「漢の寿亭侯」と間違って認識する考えが一般的に広まっており、元代の雑劇や『三国志平話』でもそれを踏襲している。明代になってもその認識は改まることはなかった。『三国志演義』の作者はそうした当時の一般的認識の上に立って、この話を作り上げたのであろう。
さらに、明代以降になると、それまでの「雅俗認識」に変化が起こり、「雅」が「俗」に影響を与えるようになったり、「俗」が「雅」に影響を与えたりする「雅俗の交流」が起こるようになったことを指摘した。